デュビアは帰化できるのか?帰化した場合の飼育者への影響は?

デュビアが帰化したら? 生態

2021年頃に、千葉県デュビアが帰化したのではないか」というニュースが流れたそうです。

山田ドシー
山田ドシー

こんにちは筆者の山田ドシーです!X(@doshi_dubia)もやってます!

私はリアルタイムでその記事を見ていないのですが、調べたところ「野外で大量のデュビアが発見された」とのことらしいです。

大量のデュビア
大量のデュビア

当時からこの「帰化=野生化した」という内容のニュースについては「誰かが野外に大量のデュビアを逃し、その群れを見つけただけで帰化まではしていない」という意見があったらしいですが、それから約3年経った現在でも「デュビアが帰化した」みたいな話は聞かないので、おそらく帰化まではしていないのでしょう。

そこで今回は、「デュビアの日本への帰化」というテーマで、帰化できる可能性や、帰化した場合の影響について考えてみたいと思います。

先に結論から申しますと…

デュビアは日本に帰化できる可能性はある
そして帰化した場合は餌虫として使えなく可能性がある!

それではここからデュビアは帰化できるのか、デュビアが帰化したらどのうような影響が考えられるのかについて、具体的に考えていこうと思います!

帰化動物と特定外来生物とは

デュビアの帰化について考える前に、そもそも生物の帰化とはどういうことで、どんな影響があるかについて調べました。

帰化した動物のことを帰化動物と言うのですが、よく”帰化”と言うと、人が新たに国籍を得ることですが、帰化動物とはまさにその動物版で、海外にしか生息していない動物(いわゆる外来種)が国内で野生化したものを帰化動物と呼びます。

代表的な生物としては、アメリカザリガニやブルーギルなどが有名です。

外来種が国内で野生化するきっかけとしては、ペットとして飼育されていたものが野に放たれたり、海外からの貨物や飛行機や船などに紛れて国内に運ばれてくるなどです。

外来種が帰化することの問題点は、本来は国内に生息していなかった種が入ってくることで、在来種を捕食したり、在来種と住処の奪い合いをしたりすることで、それまでの生態系のバランスを崩す可能性があることです。

ちなみに上記のように生態系などに特に悪影響を及ぼす可能性が予め考えられる外来種は、帰化してる・していない、に問わず特定外来生物というものに指定されることもあります。

特定外来生物とは以下のようなもの(環境省のHPより引用してきました)。

「特定外来生物」とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。指定された生物の取り扱いについては、輸入、放出、飼養等、譲渡し等の禁止といった厳しい規制がかかります。詳細はこちら。
特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。

環境省HPより引用

特定外来生物の例としては、カミツキガメやウシガエルなどがいます。

特定外来生物のカミツキガメとウシガエル

デュビアの帰化による影響

デュビアの帰化について問題になるのは、帰化したことによって、これまでは考えられてこなかったデュビアの生態系への悪影響が新たに発見されてしまうことで、前項で説明した特定外来生物に指定される可能性があることです。

現在はデュビアは特定外来生物に指定されていないので、誰でも自由に売買や飼育など可能ですが、もし指定されてしまうと話が変わってきます。

規制の程度はその影響の度合いよって変わる様ですが、特定外来生物の規制の説明では飼養の禁止ということも書いてあり、そうなってしまうと飼育が禁止になってしまうので、必然的に生き餌として利用することはできなくなってしまいます。

ではそもそも「デュビアは日本に帰化できるのか」について考えてみようと思います。

デュビアは帰化できるのか

もしデュビアが帰化したことで生態系に何かしらの悪影響が発見された場合には、デュビアが特定外来生物に指定される可能性があり、指定されてしまうと生き餌として扱うことが困難になるという説明をここまででしてきましたが、そもそもデュビアが日本に帰化する可能性はあるのかについて考えてみました。

調べてみると、同じ様にデュビアが日本で帰化する可能性について考察している記事をいくつか見つけました。

まずデュビアが帰化するためには、デュビアが野に放たれるところから始まります。

爬虫類や両生類の飼育者の中では餌虫としてデュビアは普及しており、デュビアを販売しているお店だったりブリーダーもいる現状において、マナーの悪い飼育者が野外に逃したり、何かしらの事故で野に放たれてしまう可能性は大いにあると思います。

そして野に放たれた後の話ですが、冒頭でデュビアが帰化する可能性に関して考察している記事をいくつか見つけたと話しましたが、そういった記事で必ず挙がっているポイントの1つが、「日本の冬は寒すぎてデュビアは対応できないのではないか?」という点だったので、この点について考察してみます。

よくデュビアは20℃以下になると成長も繁殖も止まると聞きますし、とある高校の生物研究部の方が、実験として3匹のデュビアを11℃の環境で管理したところ、数日で全滅したという結果の記事もありました。

日本の冬を考えると、東京の場合でも昼間は10℃ぐらいですし、夜間になると氷点下になる日もあります。

そう考えると確かに、デュビアにとって日本の冬は厳しい環境であることは間違いなさそうですね。

ただしここで考えたいのは、現在日本でお馴染みのクロゴキブリやチャバネゴキブリも実は外来種で、帰化に成功しているゴキブリだということ。

クロゴキブリは寒さに強いと言われていますが、10℃以下では繁殖する力すらなくなると言われていますし、チャバネゴキブリに関しては寒さに弱く、氷点下に至っては24時間以内に死亡してしまうほどらしいです。

ではそんなクロゴキブリやチャバネゴキブリが全滅することなく、日本の生態系に定着までしている理由は、岩の下だったり、屋内で冬を越しているからです。

寒さに弱いとされているチャバネゴキブリは主に飲食店なんかでよく現れるのですが、飲食店には必ずあるであろう冷蔵庫の裏なんかは、季節問わず1年中あったかいですからね。

そう考えると、デュビアが仮に日本の冬の気温に耐えられなかったとしても、屋内に入ってしまえば冬の寒さがどうこうなんて関係ないということです。

帰化できるかできないかについては、もちろん気温以外にも様々な要素が関係してきますが、個人的な意見としては、結論としてデュビアが帰化する可能性はあると思います。

ただ今現在餌虫として日本にデュビアが流通しており、誰でも手に入れられる環境である以上、これまで様々な理由でデュビアが野に放たれたことが多かれ少なかれあると思います。

そんな状況であっても、今のところデュビアが帰化したという確定的な情報は見つかっていないので、そう考えると日本は帰化できる環境ではないとも捉えられる気もしますが、チャバネゴキブリのように環境への対応方法はいくらでもあると思うので、今後何かの偶然が重なって野生下で増えていく可能性はあると思います。

仮に帰化したところで、特に悪影響が起こらないかもしれませんが、それは帰化してみないとわからない部分もあると思うので、わからない以上は、我々の様なデュビアを扱っている人たちは、責任を持って、野に放たれることのないように管理することが大切だと思います。

まとめ

今回はデュビアの帰化について書かせていただきましたが、まとめとしては…

まとめ
  • デュビアが過去に「帰化したかも」というニュースがあったが、現在では帰化したという情報はない
  • 帰化した場合、特定外来生物に指定される可能性がゼロではない
  • 特定外来生物に指定された場合、今の様に生き餌としての利用は難しい
  • デュビアが今後日本に帰化する可能性はある

長々と色々語ってきましたが、結局のところ大切なことは、仮に餌用として飼育しているデュビアだとしても、飼育している生き物の色んな意味での責任を飼育者はしっかり持ちましょうということですね。

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