デュビアはなぜ共食いする?原因説を検証し、共食いの仕組みを考察してみた

デュビアはなぜ共食いする?原因説を検証し、共食いの仕組みを考察してみた 生態

デュビアは共食いをする生き物です。

その原因については、一般的に以下の3つがよく挙げられています。

  • タンパク質不足
  • 水分不足
  • 過密飼育
山田ドシー
山田ドシー

こんにちは筆者の山田ドシーです!X(@doshi_dubia)もやってます!

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私がこの原因を見て純粋に感じたことは、「タンパク質不足」「水分不足」「過密飼育」が、なぜ共食いにつながると言われているのかということです。

実際に調べてみた結果としては、デュビアを対象にした共食いの原因や仕組みを調べた研究は見つけることができませんでした。

デュビアを対象とした研究が見つからないのであれば、これらの原因は、現時点では科学的に確認されたものではないことになります。

だとすると、なぜこれらが原因としてよく提唱されているのでしょうか?

本記事では、ネット上で語られている共食いの原因や仕組みを一度整理し、それぞれの説がなぜ提唱されているのか、その根拠について考察します。

その上で、実際に観察されている事象とも照らし合わせながら、私が考えるデュビアの共食いのメカニズムの仮説を考えてみました!

結論から言いますと、私が考えた共食いのメカニズムの仮説は…

「①食べられる側の個体の食べられやすさレベル」「②食べる側の個体のトータル摂食欲求レベル」が存在し、これらの数値レベルを掛け合わせた値が高いほど、共食いが発生しやすくなるのではないか。

では、この結論の意味や、なぜこの結論に至ったかをここから一つひとつ解説していきますので、長文ではありますが、ぜひ最後まで読んでみて下さい!

そもそも共食いとは?

共食いとは、一般的に同種の個体を食べる行動と定義されています。
一方で、研究によっては、生きた個体を食べる行動と、死骸・瀕死・負傷した個体を食べる行動(同種の死骸食)を区別して扱うこともあります。

共食いをしない動物はいるのでしょうか。

実は、共食いが「今まで報告されていない」動物はいても、「絶対にしない」と証明された動物はいません

肉を食べないと思われる草食動物でさえ共食いが見られることがあり、さらには我々人間も、過去には共食いをしたという記録が残っています。

このように、共食いは特定の動物だけの行動ではありません。
代表的な例として、カマキリやハムスターでは次のような共食いが知られています。

カマキリは、交尾の前後にメスがオスを食べる「性的共食い」が知られており、栄養補給や繁殖成功率の向上など複数の仮説が提唱されています。

ハムスターは、親が子どもを食べることがあり、ストレスや栄養状態など複数の要因が関係すると考えられています。

このように共食いは、動物によって、起こる場面や、考えられている理由が異なります。

デュビアは本当に共食いする?

本記事の冒頭でお話しましたが、デュビアは共食いをします。

たまに「コオロギは共食いをするが、デュビアはしない」みたいな文言を見聞きすることもありますが、デュビアが共食いをすることは、私も実際に確認している事実です。

ただし、どんな個体でも共食いされるわけではなく、私の経験や調べた情報の範囲では、共食いが報告されていたのは主に以下のような個体です。

  1. 脱皮直後
  2. 死骸
  3. 弱った個体
  4. 特に小さな幼虫

まず、1の脱皮直後と2の死骸については、どちらも私自身が目撃した経験があり、ネット上でも同じような報告が多数見つかりましたので、共食いが起こるケースとしては、ほぼ間違いないと言えると思います。

共食いされた死骸
共食いされた死骸

3の弱った個体については、私自身の目撃体験はなく、情報も少なかったですが、「Allpet Roaches Forum」という海外のゴキブリ愛好家向けのオンライン掲示板内で、「飢餓状態で、弱った個体や脱皮直後の個体が食べられた」という体験談の書き込みがありました。

4の小さい幼虫については、こちらも私自身は見たことがありませんが、現時点で登録者数310万人以上のエキゾチックアニマルの飼育や繁殖について発信しているYoutubeチャンネル「Exotics Lair」内の「(Almost) EVERYTHING you need to know about Dubia Roaches & their CARE !!!」という動画にて、“if you have too many males there is a possibility that some males will eat other males babies(オスが多すぎると、一部のオスがほかのオスの子ども(幼虫)を食べてしまう可能性があります。)”という発言がありました。

“other males babies”という表現については、「他のオスの子ども」という直訳になりますが、デュビアが自分の子どもを識別しているとは考えにくいため、要は「特に小さい幼虫」という意味で話しているのだと解釈しております。

これら1〜4に共通することは、『襲われても抵抗ができない(弱い)個体』、言い換えれば『食べやすい個体』のように感じます。
一方で、健康な個体同士が積極的に食べ合う様子は、成虫のオスの翅を齧るという情報は見つかりましたが、これを共食いと定義するのはちょっと違和感があるので除外した場合、それ以外では少なくとも私が調べた限りでは、体験談などは見つかりませんでした。

では、なぜこのような共食いが起こるのでしょうか。

まずは、一般的によく言われている原因について整理してみます。

共食いの原因としてよく言われている説

デュビアが共食いをすることはここまでで説明しましたが、なぜ共食いをするのかという点については、大前提、冒頭で触れたように科学的に明確な答えはまだ分かっていません。

その上で、原因としてよく言われているのは以下の3説があります。

  1. タンパク質不足
  2. 水分不足
  3. 過密飼育

ここからは、科学的に明確な答えがわかっていないながら、これらの説がなぜ提唱されるようになったのか、一つずつ考えていこうと思います。

①タンパク質不足説が言われる理由

タンパク質不足説は、おそらくデュビアの共食いの原因として、最もよく挙げられる説の一つです。

しかし、繰り返しにはなりますが、デュビアを対象に「タンパク質不足によって共食いが増える」と実証した研究は見つかりません。

ではなぜ、この原因がよく言われているのか?

タンパク質不足説が言われる理由としては、次のようなものが考えられると思います。

  • 他の動物では研究例がある
  • デュビア自体が高タンパク
  • 飼育者の経験則

1つ目は、他の動物では実際に、栄養不足と共食いの関係が研究されているから。

例えば、北米に生息しているモルモンコオロギの場合、タンパク質や塩分が不足すると共食いが増え、逆にそれらを十分に与えると共食いが減ったという研究結果が実際に得られています。

このような他の動物の研究結果から、「デュビアにも当てはまるのでは?」という推測がされたことによって、タンパク質不足説が提唱された可能性は高いと思います。

2つ目は、デュビア自身が高タンパクだから。

これは逆算的に考えた場合で、デュビアが高タンパク→そんなデュビアを食べればタンパク質が補給できる→つまりタンパク質が欲しくて共食いするのだろう、という流れで、この説が提唱された可能性です。

3つ目は、飼育者の経験則。

これはネット上で見つかる話ですが、タンパク質が多く含まれる餌を増やしたことによって、共食いが減ったという飼育者の経験談が実際にあるため、この説が提唱された可能性です。

②水分不足説が言われる理由

次に水分不足説も考えてみます。

この説が言われるようになった理由を考えるのが、実はこの記事を書いている上で一番難しかったです。

なぜならば、「デュビアは水分が不足すると共食いが起こる」という情報はすぐに見つかりましたが、「なぜ水分が不足すると共食いが起こるのか?」まで言及している情報が本当に見つからなかったからです。

自分なりの推測を考えるにしても、そもそもデュビアを対象にした共食いの研究はなく、他の動物の研究まで手を伸ばしてみても、タンパク質不足についてはモルモンコオロギのような研究がありましたが、水分不足については「水分不足が共食いの原因になる可能性はあるかもしれない」程度の結論までしか触れていない研究しか見つからなかったのです。

そんな中で理由として考えられるのは

  • 飼育者の経験則

の1点くらいしか思い当たりませんでした。

これは例えば、水分が多く含まれる野菜や昆虫ゼリー、または給水器などで水分を与える量を増やした時に、共食いが減ったという体験談があり、そこから水分不足説が浮上したのではないのかという推測です。

③過密飼育説が言われる理由

次は過密飼育説を考えていきます。

これは今までの2つとはちょっと性質が異なっていて、タンパク質・水分不足はデュビア自身の問題ですが、過密飼育は環境の問題です。

過密飼育が原因と言われている理由として考えられるのは、

  • 他の動物での過密による影響
  • 飼育者の経験則

ではないでしょうか。

1つ目の、他の動物での過密による影響とは、動物の中には過密状態になると、ストレスや攻撃性、異常行動が報告されている例があります。

この事例から、「デュビアでも過密が何らかの悪影響を及ぼし、共食いにも関係するのではないか」という考えから提唱されたのではないかという可能性です。

2つ目の飼育者の経験則は、これまでと同じように、過密飼育をやめたタイミングで、共食いも減ったという経験談から、この説が広まったのではないかという推測です。

このように、それぞれの説には「なぜそう言われるようになったのか」を推測できる背景はあります。

しかし、現時点ではいずれもデュビアを対象として科学的に実証されたものではありません。

よく言われている原因への疑問

ここまで、タンパク質不足説・水分不足説・過密飼育説について、「なぜそのように言われるようになったのか」を私なりに推測してきました。

この推測が仮に正しかったとした場合、この3つの説を共食いの原因として提唱するには、実は私の中では多くの疑問が残ります。これは言い換えると、これらが原因として言われていること自体への疑問でもあります。

では私が思う疑問について、それぞれ説明していきます。

①タンパク質不足説への疑問

おさらいとして、タンパク質不足が原因として言われている理由として、次の3つを考えました。

  • 他の動物(モルモンコオロギなど)で、タンパク質不足が共食いの原因になる研究結果があるため
  • デュビア自体が高タンパクなので、「共食いをする」=「タンパク質を摂取」するため
  • タンパク質が多く含まれる餌を増やしたことによって、共食いが減ったという飼育者の経験談が実際にあるため

それぞれについての疑問点を挙げていきます。

まず1つ目の、他の動物の研究結果によるものについてですが、これまでに何度も言っている通り、デュビアを対象とした共食いの研究がないため、仮に他の動物でそうだとしても、デュビアにも当てはまるのか?

2つ目の、デュビアが高タンパクだから、共食いはタンパク質を求めている(=タンパク質が不足している)という考え方ですが、確かにデュビアは高タンパクかもしれませんが、当然タンパク質以外の栄養素もあるため、なぜ「デュビアを食べる」=「タンパク質摂取を目的としている」と言い切れるのか?

3つ目の、飼育者の体験談については、例えば、高タンパクなドッグフードを与えたら共食いが減ったとします。しかしこれも2つ目の疑問同様、ドッグフードにはタンパク質以外の栄養も含まれており、タンパク質だけを増やした状態ではないため、タンパク質以外が影響している可能性はないのか?

②水分不足説への疑問

同じように水分不足説への疑問は、まず大前提であり一番の疑問点は、他の動物を含めても「水分不足が共食いの直接的な原因となる」という研究結果がないのに、なぜデュビアはそうだと言えるのかということ。

その上で、この説の出所は飼育者の経験則によるものと考えましたが、タンパク質の話と同様、仮に野菜や昆虫ゼリーを与えて共食いが減った場合は、水分だけが影響しているか断定できないのではないか?

給水器などで水のみを増やした場合でも、水分摂取によって共食いが減ったのか、もしくは給水器設置による環境の変化(レイアウトや湿度など)が原因という可能性は本当にないのか?

③過密飼育説への疑問

過密飼育説は、他の動物の過密による影響と、経験則を、提唱されている理由として挙げました。

まず過密による影響ですが、そもそもデュビアは集団で固まる性質がある生き物で、過密飼育によって繁殖率が上がるとまで言われたりする生き物なので、過密によるストレスなどマイナスな影響があるのは本当なのか?

経験則についても、例えば過密から過疎に変えたことによって、餌がちゃんと行き渡るようになったために共食いが減ったのかもしれません。もしそうだとしたら、これは過密が直接的な原因ではありせん。

全ての説に共通している経験則について改めて触れると、「○○を変えたら共食いが減った」という経験だけでは、それが共食いの直接的な原因だったとは断定できません。

なぜなら、飼育環境では一つの条件を変えたつもりでも、実際には複数の条件が同時に変化している可能性があるからです。

私が考える共食いのメカニズム

ここまで、デュビアの共食いの原因としてよく挙げられる説の由来と、それぞれに対する疑問について考えてきました。

では逆に、これらの疑問を矛盾なく説明でき、実際の観察結果との整合性がとれる共食いの仕組みとして、どのような可能性が考えられるのでしょうか。

ここからは、私が独自に考えた、共食いのメカニズムについての仮説を発表させていただきます!

私の仮説:「①食べられる側の個体の食べられやすさレベル」「②食べる側の個体のトータル摂食欲求レベル」が存在し、これらの数値レベルを掛け合わせた値が高いほど、共食いが発生しやすくなるのではないか。

ではまず「①食べられる側の個体の食べられやすさレベル」とはなにか。

観察された事実を整理していくと、共食いの被害に遭う個体は、脱皮直後や死骸、弱った個体などの「抵抗ができない個体」でした。

ここでまず先に考えることは、デュビアが共食いの対象とする相手の選び方は、健康・弱っているを問わず何でも食べようとするが、元気な個体は逃げたり抵抗したりするため、結果として抵抗されない個体だけを食べているのか?もしくは、最初から弱い個体だけをターゲットにしているのか?

少なくとも普段のデュビアたちの行動を見る限りでは、後者の方が説明しやすいのではないでしょうか。

理由としては、デュビアは集団で密集してじっと隠れている姿がよく見られるので、もし健康な個体も狙っているのであれば、“集団で密集してじっと隠れている”という状況にはなりにくいのではないかと思われるからです。

では「食べられる側の個体の食べられやすさレベル」とはどういう考え方かというと、簡単に言うと食べやすさの度合い。

例えば、健康で元気な個体は、抵抗されてしまうので食べやすさレベル0とし、全く抵抗しない死骸はレベル10、脱皮直後の個体は、脱皮中はほぼ抵抗できないと思うのでレベル8で、脱皮が終了した直後は、外骨格が柔らかいので防御力はないですが、動くことはできるのでレベル5みたいなイメージです。

次に「②食べる側の個体のトータル摂食欲求レベル」について説明します。

ここでいう摂食欲求とは、単純な空腹というわけではなく、

  • エネルギー不足
  • タンパク質など特定栄養素への欲求
  • 水分への欲求
  • いつもの餌とは違う食物への欲求
  • ストレスや環境変化による摂食欲

など複数の欲求を指し、これらの欲求の合計値を、ここでは「トータル摂食欲求レベル」と呼ぶこととします。

これも同様にレベルを数値化して考えて、例えば、あらゆる欲求が全てMAXの場合はレベル10、逆に全て満たされている場合はレベル0のように考えます。

よく言われている原因の、タンパク質不足説や水分不足説との違いは、ある限定的な要素(タンパク質・水分)だけではなく、その他複数の要素を含めた上での、トータル的な状態で考えている点です。

そして、この2つのレベル数値を掛けた数字が、高ければ高いほど、共食いが発生しやすいのではという仮説です。

足し算ではなく、掛け算で考えているので、1つ例を出すと、トータル摂食欲求レベルが10の個体がいたとしても、その他の個体が全て元気満々で、食べられる側の個体の食べられやすさレベルが0の場合は、10×0=0になって、共食いはほぼ発生しないという考え方です。つまり、どちらか一方だけが高くても共食いは起こりにくいと考えています。

この仮説を基に、これまでによく言われている原因に対して呈した疑問について、改めて考えてみます。

実際に観察された事実として、高タンパクの餌や水分を与えたら、共食いが減ったという経験談があるという話をしましたが、そこでは、これだけでは「タンパク質や水分だけが影響しているか断定できない」という疑問を呈しました。

実は共食いに関する経験談をネットで調べてみると、ドッグフード、ラビットフード、昆虫ゼリー、野菜など様々な種類の餌をたくさん与えていたにも関わらず、共食いが発生したという、ある意味真逆の事例も見つかっています。

私が考えた仮説で考えると、これらの一見異なる経験談も、少なくとも互いに矛盾しない形で捉えられるように思います。

高タンパクの餌をあげて共食いが減った事例は、タンパク質を与えたことによって、複数ある欲求の中の1つの数値が下がり、トータル摂食欲求レベルが下がったために共食いが減った。

水分を与えた場合も同じ理由。

逆にいろんな餌を豊富にあげていたが、共食いが増えた事例は、栄養素以外の要素で「トータル摂食欲求レベル」が上がった、もしくは別の何らかの原因で「食べられる側の個体の食べられやすさレベル」が上がったから。

…と考えれば一応説明ができます。

そして過密飼育説で、過密飼育をやめたら共食いが減ったという事例については、疑問の時にも触れたように、過密が解消されて餌が行き届くようになり、トータル摂食欲求レベルが下がった可能性か、単純に過密であればあるほど、食べられやすさレベルが高い個体と、トータル摂食欲求レベルが高い個体が接触する確率が上がるためではないかと考えられます。

つまり、過密飼育そのものが共食いの原因ではなく、レベルを上げる原因、もしくはレベルが高い個体同士の接触機会を増やす原因ではないでしょうか。

この仮説は「何かが一定以上になると必ず共食いする」というものではなく、「条件が重なるほど共食いが起こる可能性が高くなる」ということです。

まとめ

非常に長い文章になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!!

今回は、デュビアの共食いの原因としてよく挙げられる「タンパク質不足」「水分不足」「過密飼育」について、なぜそう言われているのか、その根拠と疑問点を考え、私なりの仮説までを考察してきました。

この仮説であれば、脱皮直後や弱った個体が主に食べられることや、高タンパクの餌や水分、過密解消によって共食いが減ったという経験談、反対に餌が豊富でも共食いが起きた事例も、ある程度同じ仕組みの中で捉えることができるように感じます。

もちろん、これは研究で確認されたものではなく、私自身の観察や調べた情報をもとにした仮説です。

今後、デュビアを対象とした研究や観察事例が増え、本当の仕組みが明らかになることを期待しています!

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